スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

風の便り

===================================
 田坂広志 「風の便り」 特選  第20便    
===================================



 「透明な感性」が予感したもの



  先生、気層のなかに炭酸ガスが増えてくれば
  暖かくなるのですか。

  それはなるだろう。
  地球ができてからいままでの気温は、
  大抵空気中の炭酸ガスの量で
  きまっていたといわれるくらいだからね。

  カルボナード火山島が、いま爆発したら、
  この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴くでしょうか。

  それは僕も計算した。
  あれがいま爆発すれば、
  ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球全体を包むだろう。
  そして、下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、
  地球全体を平均で五度ぐらい暖かにするだろうと思う。


 この対話は、
 現在の地球温暖化をめぐっての議論ではありません。

 いまから70年前、
 1932年に発表された、ある小説のなかで、
 主人公たちが行っている対話です。

 その小説の作者は、宮沢賢治。
 小説の題名は、『グスコーブドリの伝記』。

 いま、この小説の主人公の対話を読むとき、
 我々は、静かな驚きを感じます。

  片田舎に住む一人の詩人の瑞々しい感性が、
  人類の未来を予感していた。

 そのことへの、驚きです。

 そして、その静かな驚きとともに、
 我々は、深い不思議を覚えます。

  世界をありのままに見つめる透明な感性は、
  ときに、時空を超えて、未来を感じとる。

 その不思議です。


 未来の見えない「不透明な時代」。

 この時代を生きる我々に求められるのは、
 その「透明な感性」なのかもしれません。


※この「風の便り」は、皆さんの友人や知人の方々へも、
 遠慮なく、送って差し上げてください。
 ささやかな縁と共感の輪が広がるならば、幸いです。

コメント

非公開コメント

ぷるぷるカウンター

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。